私がAGAの治療を本格的に始めたとき、医師から真っ先に指摘されたのは薬の服用以前に、私の乱れきった食生活でした。当時の私は仕事のストレスを理由に、毎晩のように脂っこいラーメンや揚げ物を食べ、アルコールも欠かさないという生活を送っており、頭皮は常に脂ぎって赤みを帯びている状態でした。医師は私に、髪は血液から栄養をもらって育つものであり、ドロドロの血液では毛根に栄養が届かないこと、そして過剰な脂質や糖質が脱毛を加速させる可能性があることを丁寧に説明してくれました。そこから私の、食事によるAGA対策が始まったのです。最初に取り組んだのは、夕食のメニューの見直しでした。揚げ物を週に一回に減らし、代わりに焼き魚や煮物、そして必ず一品の納豆か冷奴を添えるようにしました。大豆製品に含まれるイソフラボンが髪に良いという知識を支えに、地道に継続しました。また、間食として食べていたスナック菓子をアーモンドやクルミなどのナッツ類に変え、髪の合成に不可欠な亜鉛を自然な形で摂取するように心がけました。驚いたことに、食事を変えて三ヶ月ほど経った頃から、まず肌の調子が良くなり、頭皮のベタつきや痒みが劇的に軽減されたのです。これまでは夕方になると髪が皮脂で束になっていましたが、サラサラとした状態が長く続くようになりました。肝心の髪の毛についても、薬の効果も相まってか、一本一本にコシが出てきて、鏡を見たときの地肌の透け具合が以前よりも気にならなくなりました。特に嬉しかったのは、美容師さんから髪の質感が変わったと褒められたことです。暴飲暴食をしていた頃は、身体が栄養を生命維持に優先的に使い、髪という後回しにされやすい部位には栄養が回っていなかったのだと痛感しました。食事を整えることは自分自身を大切にすることであり、その結果が髪の毛という目に見える形で現れることは大きな自信に繋がりました。もちろん、食事だけでAGAが完治するわけではありませんが、治療薬の効果を最大限に引き出し、健やかな髪を維持するための「土壌」を作るのは、他ならぬ自分自身の選択した食事なのだと確信しています。今では、自分の髪のために何を食べるかを考える時間が、毎日の楽しみの一つになっています。